【開催レポート】品質マネジメントの形骸化をどう防ぐ?「第1回 KKE QMSミートアップ in 名古屋」を振り返る

第1回 KKE QMSミートアップ in 名古屋」を開催しました

第1回 KKE QMSミートアップ in 名古屋
~IATF16949を紐解き、QMSのあるべき姿と持続可能な構築へのアプローチを探る~

日  程 : 2026年2月6日(金)13:30~17:35 セミナー後懇親会
場  所 : 愛知県名古屋市 JPタワー名古屋

講演内容:
①欧州先進企業に学ぶ、 FMEAや品質データの統合と活用 ~PeakAvenue Conference 2025 報告~(株式会社構造計画研究所)
②品質マネジメントシステムの構築と維持管理のポイント(一般社団法人 中部産業連盟)
③IATF16949 最新動向とルール第6版施行から1年で見えてきた改定ポイント(BSIグループジャパン株式会社)
④品質マネジメントの変革に挑み続ける ~IATF16949認証取得で目指す価値創造~ 「その後、どうなった?」編(MTK株式会社)
⑤パネルディスカッション

2026年2月6日、構造計画研究所主催で「第1回 KKE QMSミートアップ in 名古屋」を開催しました。
その様子をレポートします。

QMSミートアップ

まず、「KKE QMSミートアップ」とは?

近年、製品開発の複雑化や認証対応の厳格化により、QMS(品質マネジメント)に関する現場の負担は増すばかりです。しかし、同じ悩みを持つ人同士が集い、対話できる場はそう多くはありません。
そこで構造計画研究所(KKE)では、同じ課題・目標を持つ仲間と出会い、この場を通じて成功へのヒントを見つける情報交換と交流の機会として、「KKE QMSミートアップ」を立ち上げました。

記念すべき第一回では、講師として一般社団法人中部産業連盟様、認証機関BSIグループジャパン株式会社様、鉄鋼加工メーカーMTK株式会社様をお招きしました。

それぞれの専門家からの講演やパネルディスカッション、QMSに携わる参加者の皆さまの交流により、実効性の高い品質マネジメント運用に向けて考える機会となりました。

グローバル企業の品質マネジメント最新事例を紹介

最初の講演は、構造計画研究所 品質安全デザイン室の行武による「欧州先進企業に学ぶ、 FMEAや品質データの統合と活用 ~PeakAvenue Conference 2025 報告~」でした。

2025年9月にドイツで開催された、品質ナレッジデータベース「e1ns」開発元のPeakAvenue社のユーザーカンファレンスから、品質マネジメントに取り組む製造業3社、半導体「Infineon」社、化学・消費財「Henkel」社、タイヤ「Pirelli」社の最新事例を紹介しました。
日本の企業にとって新しい知見、真似できるヒントが詰まった内容でした。

特に印象的だったのは、Henkel社が「機内のコックピット」と例えていたFMEAを「経営の管制塔」へと進化させた事例です。従来、Henkel社におけるFMEAデータは現場のシステム内に閉じられており、担当者だけが内容を理解していた一方、経営層がそれを見ることはありませんでした。

このことを問題と捉えた同社は、FMEAの情報を開発日程やSAPの市場クレームデータ等と統合し、Power BIを用いて可視化。「FMEAの健全性」「納期」「市場におけるFMEAの効果」を信号機(赤・黄・青)で表示することで、経営層が直感的に状況を把握できる仕組みを構築しました。FMEAの技術情報が、ビジネスの「経営指標(KPI)」になり得ることを示す好例でした。

本講演について、「もっと聞きたかった」との声も多く寄せられました。本Webサイトでも、コラム「PeakAvenue社 ユーザーカンファレンス 2025@ドイツに参加しました」にてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

欧州先進企業に学ぶ、 FMEAや品質データの統合と活用 ~PeakAvenue Conference 2025 報告~

中部産業連盟 内山様:コンサルタント目線でIATF16949システム構築のポイントを解説

IATF 16949認証取得のために考えないといけないこと、システム構築時に確認される弱点や強化ポイント、そして認証を維持していくために必要なこと等を惜しみなくプレゼンに盛り込んだ、実践的かつ熱のこもった講演でした。

認証取得のために活動する初期段階においては、どこまでが適用範囲か、自社ではどこまで要求されるのかといった点がなかなか分かりにくいのですが、これまで経験された例を挙げながら具体的に示してくれました。

そして認証取得のためだけでなく、プロセスに関係する顧客からの要求事項を理解し、実施に結びつけることの大切さやその責任と権限をシステムに落とし込むことの重要性を説いていました。

何よりもプロセスのインプットとアウトプットを明確にし、それが日常業務において実行できる仕組みになっているかという運用にまで踏み込み、顧客の立場になって詳細に解説されていた姿が印象に残っています。

会場の参加者からは、「規格を理解し、自社の仕組みに落とし込むポイントが分かった」「要求事項に対してシステムとして管理運用できているかが重要だと理解できた」など多くのご感想、ご質問が寄せられました。

品質マネジメントシステムの構築と維持管理のポイント(一般社団法人 中部産業連盟)

認証機関のBSIグループジャパン 宮路様:IATF16949の最新動向、よくある指摘など気になるポイントを解説

IATF 16949にける到達目標や要求事項、ルール6版の改定で審査がどう変わったか、審査に関するよくある指摘事項について、審査機関ならではの視点から講演いただきました。

ルール6版の改定では対面審査が基本となり、現場の品質マネジメントについてこれまで以上に厳しく見られること、不適合があった場合の対応期限が決められていること、「予備審査なし」による第一段階および第二段階審査への影響を共有いただきました。

よくある指摘事項では、問題解決(根本原因が特定されていない、再発防止策が展開されていない)や実務的な対応(教育方法や改善活動)、測定システム解析(MSA)等が挙げられ、海外と国内(BSIグループジャパン)において指摘事項に大きな差はないとのことでした。

また、認証取得の審査機関を変更する場合についても説明があり、そのスケジュール例や審査前に必要となる書類等、将来起こりうるかもしれないケースも盛り込んでいただき、審査機関がどのようなことを考えて日々の審査業務を進めているかを伺い知ることができました。

参加者からは、「監査側の目線は初めてわかった」「自社で必要な規格ではないが、自動車での最新動向は興味深かった」といった声が寄せられました。普段聞く機会のない認証機関からの講演は新しい気付きがあったのではないでしょうか。

IATF16949 最新動向とルール第6版施行から1年で見えてきた改定ポイント(BSIグループジャパン株式会社)

鉄鋼メーカーのMTK 坪井様:リアルなQMS向上の取り組みを赤裸々にご紹介

MTK様では、顧客からの要求ではなく能動的な品質マネジメント変革の手段として、IATF 16949認証取得されています。プロジェクトを立ち上げた坪井様から、認証取得への挑戦ストーリー、裏側にある現場の反発や試行錯誤、見えてきた成果について、最新状況をお話しいただきました。

普段なかなか見ることのできない内部監査におけるシステムおよび製造工程監査の指摘事項や、それらを踏まえた上で、e1nsを使ってAPQPをどのように運用しているのか、生産プロセスのスキルマップの具体的な洗い出しと担当者の力量評価等、現場の課題とありたい姿とのギャップを埋めるための活動について、痒い所に手が届く形で講演いただきました。

そして、認証機関チェックリストについて、自社に合った審査機関の見極め方、審査機関が公明正大かどうか、どんな実力があるか等、実際に多くの審査機関を様々な観点で評価してきた坪井様ならではの実践的なポイントも披露され、大変示唆に富んだ内容でした。

坪井様は今回のQMSミートアップの発起人の一人であり、講演の最後に「品質マネジメントは競争ではなく、みんなで高め合うもの」であることを強調し、「同じ目標を持つ仲間と交流し、より実効性の高い品質マネジメントを一緒に実現しましょう!」と、この会をまとめていただきました。

参加者からは、「QMSツールを導入していく中での課題や対応を聴くことができ、参考になった」「認証を目指していく過程において、実際におきた課題やツール活用事例は非常にためになった」といった声が寄せられ、実体験によるプレゼンが大変好評でした。

品質マネジメントの変革に挑み続ける ~IATF16949認証取得で目指す価値創造~ 「その後、どうなった?」編(MTK株式会社)

講師によるパネルディスカッションも

最後に、各講師によるパネルディスカッションも行いました。

事前に募集した、QMSの現状や課題感に関する来場者アンケートをもとに、「IATF16949の要求事項をどのように”自分事化”するか」「不適合指摘を自社の改善につなげるマインドセット」「会社に根付き、成長していく品質マネジメントシステムの運用」の3つのテーマについて議論しました。

残念ながら内山様は急用によりご登壇が叶いませんでしたが、登壇者からの対話や意見交換、会場からの質疑応答を通じて、ご来場の皆さまに品質活動向上のヒントを持ち帰っていただけたのではないでしょうか。

懇親会はまさに「KKE QMSミートアップ」の真髄

全セッション終了後、希望者による懇親会も開催されました。
半数以上が参加され、お酒を片手に、同じ悩みを持つ方々や講師との会話を楽しみました。

「KKE QMSミートアップ」の目指す「同じ課題・目標を持つ仲間と出会い、この場を通じて成功へのヒントを見つける情報交換と交流」が実現されたこと、運営一同嬉しく思います。

さいごに

「KKE QMSミートアップ」は、今後も継続的に開催する予定です。

今回の講演内容について知りたい方や、今後の開催予定について知りたい方は、qms-sales@kke.co.jpまでメール、もしくは以下の問合せフォームにご連絡ください。